禁煙。 机の中から、ほこりをまとったチャンピックスが出てきた。
最初の数日だけ飲んだ形跡がある。 ——いつもそうだ。

タバコが値上がりすると聞くと、、
「急に“禁煙しよう”と思い立ち、浮いたお金で何をしようかと考え始める。」
旅行? パン屋めぐり? 
それともFXの証拠金にでも足すか? 妄想だけは、どこの投資家よりも早い。

過去に2年ほど禁煙できたことがある。 あの時は完全に勝ち組の気分だった。
「俺はもうタバコの呪縛から解放されたんだ」と、謎の解放感に酔っていた。

禁煙ができない言い訳だけは、どこの弁論大会でも優勝できる自信がある。
“今日はストレスが多かったから”
“明日から本気出すから”
“吸わないと集中できないから”

理由の在庫だけは無限にある。

そんな俺でも、葛飾の田舎から都心に出ると、ふと気づく瞬間がある。
都心の空気は、やけに綺麗だ。 歩く人の呼吸が軽い。 街の透明度が違う。
その澄んだ空気の中で、自分の肺の黒さが急に気になってくる。

「禁煙って、もしかして人生のアップデートなのでは?」
そう思った瞬間だけは、少しだけ胸が軽くなる。

でも、禁煙とは不思議なもので—— 禁煙は禁縁。縁を切るのは難しい。
長年付き合った悪友ほど、別れ話がこじれる。

都心の空気は今日も綺麗だ。 俺の肺は今日も黒いままだ。
それでも、またいつか“縁切り”に挑戦する日が来るだろう。

その日が今日かどうかというのは...また別の闇ブログでのお話し。