
それは梅雨明け間近の昼下がり。
経理の電話応対を終えた秋本さんが、そっとスマホを取り出した。
そう——あの「東京アプリ生活応援事業」の11,000ポイントをGETするためである。
しかし、画面を開いた瞬間、秋本さんの表情がスッ……と曇った。
「……え? これ、どこ押すの?」
その声は、 まるで突然雨が降り出した街角で、 傘を持っていない人がつぶやくような、
そんな切なさを含んでいた。
◆ 画面の中は雨、心の中も雨
楽天ペイの画面は、 秋本さんにとって“知らない街の地図”みたいなものだ。
押す場所がわからない。 戻るボタンがどこにあるのかもわからない。
そもそも今どこにいるのかもわからない。
——完全に迷子である。
画面の中は雨。 心の中も雨。 事務所の空気だけが晴れている。
「これ、PayPayみたいに簡単じゃないのねぇ……むかつくぅ~~」
秋本さんはため息をつきながら、 スマホをそっと机に置いた。
その姿は、 雨の街で傘をさして立ち尽くす人のようで、
どこか哀愁が漂っていた。
しかし—— ここで終わる秋本さんではない。
「まみちゃーん! ちょっと来てー!」
事務所の奥から、 あの「寝ぐせでお馴染みのまみちゃん」が
「はいどーぞ!」と登場する。
ここから、 11,000ポイントをめぐる “ふたりの冒険”が始まるのである。

