最近引っ越した T社長が来店した。 もう顔なじみ。
いや、顔なじみどころか 個人的な付き合いもある常連枠だ。
来店理由はシンプル。 引っ越し後に「足らないものを揃えに来た」とのこと。
そして倉庫に入った瞬間── T社長の目がキラッと輝いた。

「熔材商品の宝石箱や~!」
まさかの 彦摩呂ばりのコメント。 棚を見てテンションが上がる人は、だいたい“現場の住人”である。
あれこれ物色していると、 白棒(商品名:Sライム)の前でピタッと足が止まった。

「青と黒は無いの?」
来た。 この質問を待っていた。 ここからは T社長による“教育訓練講義” の開幕である。
◆ 【T社長講義:白棒と青棒の正体】
まず白棒。 これは 最終仕上げの鏡面担当。
バフにキュッキュッと当てて、最後の艶を出す“仕上げの魔法”。
そして問題の「青棒」。
棚にあるのは緑色。 でも名前は青棒。
色と名前が一致していない。 研磨の世界の七不思議のひとつである。
T社長は笑いながらこう言った。
「色じゃなくて粒度で分類するんだよ。 青棒の粒度だから青棒。
色はメーカーの都合で緑になってるだけ。」

なるほど。 つまり “緑色の青棒” は矛盾ではなく、 研磨剤の世界ではむしろ“普通”。
現場ではこんな会話がよくある。
「青棒ちょうだい」 → 緑色の棒が渡される 「これ緑じゃん」 → 「粒度が青だから青棒なんだよ」
信号機なら大事故だが、研磨の世界ではこれが正解らしい。
◆ 【研磨剤の使い分け(現場版)】
- 白棒(Sライム) → 最終仕上げ。鏡面。展示会前の“最後のひと磨き”。
- 緑色の青棒 → 中仕上げ。小傷消し。白棒の前段階。
- 黒棒 → 荒目。鉄の削り。 (T社長いわく「黒は削りの鬼」)
研磨は 荒 → 中 → 仕上げ の順番で使うのが鉄則。
◆ 【まとめ:色に惑わされるな、粒度を見ろ】
白棒は白棒。 青棒は緑でも青棒。 黒棒は黒棒で“削りの鬼”。
研磨剤の世界は、 色よりも“粒度”が真実を語る。
今日も倉庫で宝石箱を開けた彦摩呂(T社長)のおかげで、 ひとつ賢く、ひとつ深く、ひとつ磨かれた。
白で締めて、青で整え、黒で攻める。 研磨の道は、今日も粋で鋭い。
──軽く韻を踏んで、今回はここまで。
また1つ賢くなりました。というのは別の闇のブログでのお話し。


